収録曲目


1.棘が見えない

2.おばさんとGo-Go!

3.Tetem tetem

4. Jacka Doom Doom

5.Stay

6.ゴーレムスプラッシ

7.さよならミチコさん

8.Clown

9.ビーグル犬とバナナ

[ghost track/ It's  the perfect day  to  die]

10.TOWNY

11. Choke sleeper

12.Chameleon

13.呆れた世界

14.海神

15.ニーハオかぞえうた

16.疲れた人達


[使用機材] 

Apple / iPhone11

IK Multimedia / iRig2

Zoom / iQ6

epiphone / Thunderbird PRO Ⅳ

Squier / Affinity Telecaster

Pearl Drums

Rhythmtech Congas


[application] 

Apple / Garageband

 Positive Grid  / BIAS Amp2

                           BIAS FX2

Korg / Gadget2

Sonosaurus / ThumbJam

Cake walk / BandLab


[Studio]

Mg's

Holiday house

音楽天国


[Guest musician]

もりたま

チョコレート

バビロン

ことのね

hama

トモミ


1.棘が見えない

Vocal

Track make & Songwriting

Massage Teresa


2.おばさんとGo-Go!

Vocal Guiter Bass

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa


3.Tetem tetem

Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa


4.Jacka Doom Doom

Bass Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa

Guiter solo+backing

バビロン

Chorus

もりたま

Chocolate


5.Stay

Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa


6.ゴーレムスプラッシュ

Trackmake & Song

Massage Teresa


7.さよならミチコさん

Vocal

Trackmake & Song

Massage Teresa

Vocal

chocolate


8.Clown

Guiter Bass Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa

Guiter solo

バビロン


9.ビーグル犬とバナナ

Ukulele Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa

voice

もりたま


[ghost track/It's  the perfect day  to  die]

Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa

Vocal

Lyric & Songwriting

Hama

Vocal

トモミ

Vocal

chocolate


10.TOWNY

Vocal Guiter Bass

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa


11.Choke sleeper

Drum Bass Percussion

Trackmake & Song

Massage Teresa


12.Chameleon

Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa


13.呆れた世界

Guiter Bass Vocal

Trackmake & Songwriting

Massage Teresa

Guiter solo+backing

バビロン


14.海神

Trackmake & Song

Massage Teresa


15.ニーハオかぞえうた

Trackmake & Song

Massage Teresa


16.疲れた人達

Trackmake & Song

Massage Teresa

Keyboard solo

ことのね


MassageTeresaから、アルバムとしては3枚目の新譜が届いた。処女作「PPOI」、次作「膿」と、非常に完成度の高い作品を連発し、先頃発表されたBandLabランクイン4曲も一新生面を拓き、驚きの変化を見せた。否が応にも期待は高鳴る。


1・棘が見えない
   加齢を重ね、目や身体が緩慢に退行してゆく様がユーモラスに表現されている。ヴォーカルの和音とtbが絶妙なスパイスになっている。syn-bのチョイスは、goodjob.

2・おばさんと GO-GO !
   funkyでノリのいいナンバー。女子高生、ルーズソックス、テレクラ、ダイヤルQ2、オヤジ狩り、プリクラ、キャンギャル、ツンデレ、援交、語学留学、こうして例示していけば枚挙に暇が無い程、バブル崩壊後の昭和末期ハッチャケ元気人達を見事に描いている。
g リフなんぞ手本にすら成り得る驚きのレベル。後半 bのウネるグルーヴは流石。この曲の percは必然的、且つ効果的で good job.

3・Tetem tetem
   列車の車輪がレールのジョイントを通過する音を曲に取り込む手法は、かなり多くのアーティストが着想し挑戦する。だが然し、これを曲の一要素として昇華させるのは非常に困難。何故なら列車の通過音は3拍子、音楽は4の倍数拍子だからに起因する。プロミュージシャンでも成功させた人は、私の知る限り、向谷実以外、寡聞にして知らない。MassageTeresaはこれを見事に連結させてsteelpanのラテンテイストで調理した。徐々に加速して軽快さを増してゆく様をスキャットで見事に表現。

4・Jacka Doom Doom
   first takeからしたら格段のbrushupで、タイトなdsプラス、bのディストーションサウンドが、荒さの中で力強い疾走感さえ感じさせる。後述する「Chokesleeper」と双璧を成すbest boutな一曲。Massage  Teresa 渾身の一曲が音からもChoke sleeper同様伺える。朝日や夕日の様に刺し込む gサウンドは、超 cool。

5・Stay
   panを振り、リバーブ、レゾナンスを効果的に使用し、空間を意識したアート的楽曲。音の無段階スライドが3D空間に浮遊し、時にSpiralDream的SpiritualWorldへ誘われそうなサイバーアートとの親和性が高いと思われる作品。

6・ゴーレムスプラッシュ
  思わず、「ホイミ〜」、「ベホマラ~」、「パルプンテ」と、叫びたくなる楽しい曲。見るに見兼ねたダイキンのぴちょん君も応援に駆け付けて呉れそうな楽しい曲。ピコピコ音は令和の時代になっても、使える素材で有る事が証明された。

7・さよならミチコさん
   よくある掛け合いrapmusic。原稿棒読みみたいなミチコさんと、素っ惚けたMassageTeresaの応酬は、ファーストの「PPOI」の中に存った「詫び」の無感情なボーカルを想起させるが、このミスマッチが、意外にもマッチするのがデジャビュにして真骨頂。

8・Clown
   このアルバムの中で唯一、ロック色を前面に出したナンバー。詩の韻の踏み方がヨーロッパ伝統の道化師のソネットにも似た、と形容出来る完成度の高さ。

9・ビーグル犬とバナナ
   2nd「膿」の同曲からは様変わりしている。dsブラシの選択は、bestchoice。kb(rhodes)の一発ピグモンが、軽快さを盛り上げて、麗らかな陽気の下、川の土手のお散歩を楽しむ場面が瞼の裏に展がる。空港スタッフ役のこの女性。実に美しい声音をしているナ~。80年代アイドルに、この声と瓜二つの人が居たけど、秘密にして置こう。

[ghost track・It's the perfect day to die]
   一転して、bluesyでjazzyなhiphopナンバー。hamaチャンは、この手のナンバーには正に打って付けのvocalist。70年代にはfluをfutureしたナンバーが数多く存在していたが、以降、フレットレス、ターンテーブル、ボコーダー、オルゴール、効果音、スクラッチノイズ、クラブサウンド等、それぞれの時代、脚光を浴びたデバイスを織り交ぜ乍ら、世相の陰陽転換を比喩するコード転調とリズムのどんでん返し、1970年代~2020年代、音楽シーンと人類のクライシス、近代絵巻物を一気通貫の如く串刺しにしたこの作品には、脱帽。個人的に今回、このアルバムの中では、文句なしのグランプリ。
(諸事情によりこの曲は配信曲から削除されております)

10・Towny
  MassageTeresaは、原付スクーターをモデルにしている。CBやRZでは無い。と云う事は、音はヤンキーだが、ナンバーをヒン曲げたりしない、清く正しいライダーの様だ。曲調は派手派手だが、田圃の畦道を、海沿いの県道を、山奥の温泉へ続く林道を、ノンビリ安全運転している準お爺ちゃんの様だ。「これ、僕の。いいでしょう‼︎」。何故か渡辺貞夫の笑顔が思い出される。

11・Choke sleeper
   dsとbの両刀使いを演奏のベースとしているMassageTeresa本領発揮の秀逸作品。これもfirsttakeからは飛躍的に変貌を遂げている。一聴すればMassage Teresaの本気モード全開が判かる。曲そのものにfreakyな迄にトランスしている状況が垣間見える。本人は音の作り込みに関して、未だ満足の域に達していない様だが、俺的には、限りなくperfectに近い semi-perfect。先述した「Jacka DoomDoom」と双璧を成すbestboutの一曲。

12・Chameleon
   ダウンコード、アップコードのミニマルが、カメレオンの二進一退の動きにシンクロする如き、更にスクラッチが尚の事、これを強調する。カメレオンに狙われている蜜蜂や小蠅、バッタをgが捕食し、蝶の鱗粉やカメ虫の臭気を撒き散らすホーンといった具合。

13・呆れた世界
   この曲の様なイメージの名手として、プロギタリストの鳥山雄司が居る。然し、MassageTeresaが向っているベクトル、描く世界は、鳥山とは180度対極を向いている。鳥山のFusionにMassageTeresaのhiphopが、喧嘩を売った様な興味深い曲。バビロンのソロは、超 cool。

14・海神
   ギリシャ神話のポセイドン。ローマ神話ではネプチューン。強大な力を持ったオリンポス12神の一人だが、なかなか想像し難い。海と地震を掌握する強大な力の大きさからか、動きは、現存する哺乳類最大生物のシロナガス鯨を想像させ、そのダイナミック且つ揺蕩う様な動きが中国的音階リズムの着想へと繋がったのか。故に単調に成りがちだが、bラインとkbの基低音を合わせ、kbの2音色をユニゾンさせる事に依って、纏まった印象に仕立てられている。

15・ニーハオかぞえうた
   ギリシャ文字の数字の表記には規則性が有る。時計の文字盤やファイナル・ファンタジーのヴァージョン・ナンバリング等で目にする事が出来る。当初、この曲の雛形は、ギリシャ数字のフォーム、順列の様な、或る規則性をなぞらえた実験音楽的な試みでは、と推測した。色々思いを巡らすもピタリと合致するものが見い出せない。MassageTeresa日はく、メロディーが存在しないBGMとの事。何かと苛立たしい五星紅旗の国に在って、穏やかにリラックス出来る希少的音楽。

16・疲れた人達
   アフロキューバン的、音源利用の金管アンサンブルとは云え、ハーモニーは非常に心地良い。「MassageTeresa」の管アンサンブルには、ss、asが存在しない。fluも金属的に八釜敷く響かせない。そして全体の音程の重心は必ず低い。ロングヴァージョンにもかかわらず、blackishなdeepnight groove感を堪能出来る。



今回の「ヌクナリキメ」は、演奏、アレンジ、音響、スキル、ゲストプレーヤー、エンジニアリング等、凡ゆる面で、前2作品を遙かに凌駕している。楽器演奏者なら、又は好きなジャンルを持つ音楽愛好家なら、波長が共鳴する作品が多く存在すると思う。私も、この17作品の中に、駄作は一つとして存在しないと言い切れる。
「PPOI」、「膿」の2作品は、文学で云うプロレタリア的な統一美で、労働者階級の悲哀、喜怒哀楽と云うテーマでの一つの完成形を樹立させた。今3作目の「ヌクナリキメ」は、バリエーションの多面展開にて新展開を見せ見事に成功させている。制作者は、もう既に知命を廻り、還暦迄あともう間もなく。故に極限まで削ぎ落としたSimpleisbestの思考も当然知悉しているであろうし、自分のスタイルを確立し、断片を巻物にし、写真を物語にする術は既に獲得し得ていると思われる。
人は 40歳迄、スキルを身に着け、アビリティーを昇げ、オプションで武装する期間。
60歳迄は、獲得した上記 3つを、使いこなし、或るいは併用して闘う期間。
それ以降は、自らを守る為に、常用しないアイテムを廃棄し、身軽に行動出来る様、負荷を減らす為のsimpleを目指す期間。
「病、膏肓に入る」。こう揶揄する者も居るだろう。だが、これが、人が人足る所以である。
私は intelligence でっかちよりも、inspirationと improvisation の詰まったバルタン星人を応援する。
馬鹿垂れ成人とバルタン星人は、似て非なる者。
inspirationと improvisationは無形物。邪魔にならない。

嘗て、アマチュア演奏家が創作活動上のストレスと感じていた、録音機材の脆弱性も、技術革新の進展に依って、信じられない程のクリア性、リアルさ、フレキシブルさを得る事が容易になった。オープンリールデッキとコンソール世代には驚天動地である。更には作品発表の場も、ネットの台頭に因り、プロとアマチュアの垣根が限り無く存在しないかの如く、ボーダーレス化している。
音楽を動かすメジャー世代の新陳代謝は目まぐるしく変化し、ハードも短期間で陳腐化してゆく。
ポケベルや算盤、カセットテープやレジ袋が、時代の変遷に淘汰された様に、動画を持たない音だけのCDや雑誌も今正に駆逐の対象メディアに成りつつある。
そんな逆境の中に在って、Massage Teresa は今尚、東京のランドマークとしての東京タワーの如く、CD世代の旗手として、その存在を誇示している。

芸事全般に言えるのは、個人的な楽しみとしての音楽ならば、チックコリアであっても良いが、音楽で勝負するなら、表現欲求とミュージックシーン分析の薮睨み且つ、両睨みの天才、ハービーハンコックであれ、と新たにした。
Massage Teresaは、何時でも復活する ‼︎。
                                                                                                                 2021年4月28日      擱筆。


                                             (ライター /えんどうまめ子 )